画用紙に、チョイチョイと絵の具を落とすように描かれた青色と黄色。絵本の主人公は、この「あおくん」と「きいろちゃん」です。 二人は大の仲良し。一緒にいるとうれしくてうれしくて、ついには青と黄色はひとつになって、緑色になってしまいました。緑色のままお家に帰った二人のことを、それぞれのお父さんとお母さんは誰だか気付いてくれません。さてさて、悲しくなったあおくんときいろちゃんは…。
この絵本は作者が孫たちにお話をせがまれ、手近の紙に色をつけて次々に登場人物を創り出しながら、偶然に生まれた作品だそうです。孫たちが夢中でその話に聞き入ったように、たった3つのシンプルな色の世界に自由なイメージを膨らませ、読む人それぞれが大切な人との関わりを感じるでしょう。
アメリカでは、この絵本の「青と黄色が重なって全く違った色、緑になる」というテーマが、人と人の心の融和を暗示するものとして、大人たちの間でも好評を博しているようです。「あおくん、きいろちゃん」の織りなす世界は、小さな子供の心にも、無意識のうちに大切な何かを残していくのではないでしょうか。